わたしたちのこと

長崎ならではの「もの」 × 多様な「ひと」

私たちは生産者で、私たちはメーカーです。びわをはじめ、長崎ならではのものをつくり、自らの手で商品にしています。長崎伝来のもの、長崎オリジナルのもの、にこだわっています。

そして、私たちのメンバーは、いろんな人がいます。リーダーはずっと建築業界にいました。障がいを持つ人たちも大切な戦力です。ビジネスの世界で活躍してきた人や、県外から戻ってきたスペシャリスト、県内外のクリエーターも「応援したい」と集まっています。

異文化を受け入れ、多様な人々が集まる、長崎らしいスタイルだと気に入っています。

私たちが目指すのは、多くのひとに喜んでもらえる商品を作り届けること。私たちの活動に賛同してくれる方々をもっともっと増やすこと。

長崎って美味しいな。さすが長崎だな。また欲しいな。誰かに贈りたいな。そうだ、長崎に行こう。

私たちの手から生み出された商品や取り組みが、永く、多くの人にそう思ってもらえますように。 そしていつか、びわの畑でみなさんにお会いできますように。

プロジェクトができるまで

「居ても立ってもいられなかった、というのが正直なところです。」

〜代表・池田賢一インタビュー~

― 建築一筋のキャリアから、なぜ農業や福祉を?

きっかけは、池田設計で長崎県内の福祉施設の建設事業を請け負ったことです。2010年のことでした。事業を進めるうちに、高齢者や障がい者などを取り巻く問題は、施設を建てることでは全く解決しないことがわかりました。

一時的なケアではだめ。生涯にわたって継続的にサポートを受け、自立できる仕組みが必要なのです。障がい者だけでなくその家族も社会から取り残されがちで、将来に不安を抱かざるを得ない。職員たちも同じ思いでした。

もはやいつまでも国には頼るのではなく、事業としても自立をしなければならないのだと痛感したんです。居ても立ってもいられなかった、というのが正直なところでしょうか。

― 福祉とびわ、どう結びついたのですか?

就労支援施設のある長崎の三和地区は、びわの産地です。開設当初、近隣のびわの木の剪定で廃棄された大量のびわの葉を見て、仕事に結び付けられないかと考えたのがびわ茶を作るきっかけでした。

すると、次第に地域の農家から「うちのびわを預かってほしい」などの声が続々とかかるようになりました。その時はじめて、地域が抱える問題、いわゆる「耕作放棄地」や「農業人口の減少」を目の当たりにしたのです。

障がいを持つ人たちが安心して暮らせる社会づくりと、地域の再生は不可分だと思いました。

― プロジェクトが目指す姿を教えてください。

わたしたちが目指すのは「障がい者の自立・サポート事業のモデル化」と「地域の充実した雇用と一次産業を基本とした事業の確立」です。ここ長崎から、全国のモデル事業を作りたいという強い思いがあります。

その目標を叶えるため、びわからプロジェクトは「社会福祉法人出島福祉村」「農業生産法人 株式会社出島ファーム」「株式会社スカルパ」の3つの組織で構成しています。

福祉・地域・事業のあいだを、人・もの・ことから生み出される恵みが淀みなく還流されるべく、日々活動しています。

― びわからプロジェクトでは「長崎らしさ」にもこだわっていますね

ひとつは、農産物や特産品、地域特性を生かした、長崎ならではの「もの」「こと」の発掘と開発。私たちが自ら育てるびわや農産物だけでなく、長崎各地域のいいもの、一生懸命奮闘する人たち、素晴らしい活動をする若い人たちも応援したいのです。ともに協力しながら地域活性につなげていけたらと思います。

もうひとつは、長崎らしい「多様性」です。ユニバーサルデザインやダイバーシティなどの言葉が普及するずっと前、鎖国時代から、長崎は異なる人々や常識を受け入れる文化があったと思います。

びわからプロジェクトは、障がい者や高齢者はもちろん、地位も出身も在住もさまざま、多様な人を受け入れてともに進み始めています。ここ長崎から「社会福祉×地域活性」を叶える新しい社会モデルを切り拓けることを願っています。

(2018年10月 interviewee:池田賢一 /interviewer:中垣久美)