― 建築一筋のキャリアから、なぜ農業や福祉を?
きっかけは、池田設計で長崎県内の福祉施設の建設事業を請け負ったことです。2010年のことでした。事業を進めるうちに、高齢者や障がい者などを取り巻く問題は、施設を建てることでは全く解決しないことがわかりました。
一時的なケアではだめ。生涯にわたって継続的にサポートを受け、自立できる仕組みが必要なのです。障がい者だけでなくその家族も社会から取り残されがちで、将来に不安を抱かざるを得ない。職員たちも同じ思いでした。
もはやいつまでも国には頼るのではなく、事業としても自立をしなければならないのだと痛感したんです。居ても立ってもいられなかった、というのが正直なところでしょうか。